イシュバラプラニダーナ?

2014-sitting-at roadside-japan-crop夏だけ日本にきている息子は日本食が大好き。江ノ島のしらすを食べに連れて行く決心をする。いろいろな人にアドバイスをいただき、行く場所などを決め、Googleで電車の乗り方を調べ何度も復習をする。

梅雨のあいまにお日様が顔をだす。はりきって出発。駅ですいかをはじめて購入し使い方を学ぶ。切符のところにすいかはいれてはいけない。というか、いれられない。スクリーンのところにぱっととうすだけ。大感激。日本はすごい!

電車の到着時間の2分前にもう電車がきてとまっている。息子と2人でとびのる。なぜかがらがらで大感激。ゆっくりと2人で座り、本を読み始めると、車掌さんの放送がはじまる。成田エクスプレスになぜか乗っているのに気がつく。鎌倉にはまったく連れて行ってくれそうにない。背中に悪寒が走る。どうしよう。よく駅でおりる。駅員さんが次の次の電車に乗るように教えてくれる。2分後ではなく4分後にくる電車に乗るようにという指示。本当に2分後に電車がくる。駅員さんの顔をみると、まだまだと顔をふる。そしてその2分後にまた電車がくる。また駅員さんの顔をみるとにっこりして、うなずいてくれる。同じ駅からいろいろなところへ行く電車が走り、2分おきに正確にすべての電車がくるという日本の緻密さにまた感激!

電車にのると、途中でゆっくりになり、そして途中停車。人身事故。結局予定よりずいぶん遅れて鎌倉に到着。長谷寺にいこうとすると、90分待ちというアナウンスが駅であり、躊躇なく計画を変更して長谷寺はスキップして、江ノ島行きの江の電の乗車口へ行く。そこで息子と2人で唖然。人の山。見えるのは人の頭だけ。皆、江の電を待っている人たち。息苦しい。でもせっかく江ノ島に行くために2時間かけて鎌倉についたのだからと息子と列にならぶ。言葉もでない。一台目の電車がくる。ぎゅーぎゅーに人が乗るのをみる。もちろんそこに乗る気はなかったけれど、おそらく次の電車もまたぎゅーぎゅーになるのは目にみえている。息子の顔をみる。2人同時にうなずき、人ごみと逆方向に歩き出す。やはり混んでいる電車は苦手。乗れない。意気消沈。計画していたことがすべて実行ならず。

おなかがすき、とりあえず、鎌倉でお昼を食べてかえることにする。一瞬人ごみに中にはいるが、また息苦しいので、人の少ない道をみつけてそこを歩き出す。ハー。ため息。すると何人かの人が外でならんで待っている小さなおそばやさんがある。息子とそこに行ってみることにする。10分ぐらいで中にはいると、息子がにっこり。カウンターしかなく、そこに7人しかすわれない。カウンターの前には、お風呂みたいに大きなおなべでおそばがゆでられ、その隣ではてんぷらがあげられている。地震が来たら今にもたおれそうな古いお店。でも息子にとっては、これこそ日本でしかできない経験で一人で感激をしている。昼間ビールを飲まない子だけれど、生意気に、「これはビールたのんで、お祝いしなくしゃ。」と言って、ビールを注文。そしてそのおそばの美味しいこと!大盛りのおそばとかき揚げをほおばりながら、息子は本当に幸せそうな顔をしている。隣でおそばを大きな音をだしてすすりあげている女性をみて今度は目を丸くしてびっくり。

帰りの電車の中でも永遠におそばやさんの話をしている。おそばをゆでていたゆがんだお鍋と古いお鍋の木のふた、あげたての天ぷらとできたてのおそばのおいしさ。まさに壊れたレコード。(レコードはもう存在しないかしら?)おそばを初めて食べたわけでもないけれど、特別の経験をしたように興奮している。

計画どおりにまったくいかなかった一日。でも思い出すと実は楽しい。今では笑い話。江ノ島の白魚は食べられなかったけれど、日本のいろいろな素晴らしさを経験。イシュバラプラニダーナを思い出す。見えない力に降伏をすること。一生懸命、目的をもって計画をしても最終的には自分ですべてをコントロールできず、必ず何かのハプニングがある。でもそのハプニングを受け入れると、人生楽しい!

久美子