実は簡単?ヨガ哲学勉強前に知っておきたいこと

ヨガではサンスクリット語が多く使われます。特にイシュタヨガではクラスの中でポーズ名や哲学をサンスクリット語でお話しすることも多いため、気になっている方も多いのではないでしょうか?

「クラスで聞いたお話はよく覚えているけど、いざ自分で覚えてみようと思うと、順番もわからないしちんぷんかんぷんです」

勉強し始めの頃のスタッフもそんな経験がありました。もちろんインストラクターを目指すのであれば、ある程度順を追った理解が必要です。ただし、まず哲学を身近に感じるためならば、「あること」を知っていると、とても理解を助けます。今回はそんなヨガ哲学を身近に感じるヒントをご紹介します。
 

まず知っておきたい大前提:「ヨガ」そのものの目的

まずヨガのそもそもの目的は、私たちが崩してしまった心身のバランスを元の状態に整えること。ヨガでは本来、私たちはとてもバランスの取れた純粋な状態にあると考えています。けれど、その状態のまま生きている人はゼロに等しいです。
 
多くの場合、日々のやるべきことで頭が忙しくなったり、何かしらのストレスを感じながら生きていたりします。それこそ赤ちゃんだってバランスを崩しているし、お腹の中でも外の世界からの様々な影響を受けています。命が宿った瞬間から、その時々の様々な環境の中で手探りに生きているのですね。そこでヨガを行なって、そのバランスを元に戻しているのです。
 

人によって理解しやすいヨガ哲学は違うことを知る

ここまで読んで、「ふーん」と思った方が多いのではないでしょうか?それもそのはず、バランスの崩し方は人それぞれだからです。どんな場合にどう対処すれば「本来の自分」に戻れるのか。どんな説明がピンとくるのかは、その人の生き方や考え方の癖で変わって当然なのです。

そこで、大昔のヨガの賢者(リシ)たちは、様々な状況の人々が「本来の自分」を取り戻せるよう、色々なケーススタディを言葉にしました。それが、普段のクラスでよく耳にする格言のようなヨガ哲学なのです。

次の項目では、実際にどれくらい違うのかを見てみましょう。
 

ヨガ哲学の共感例をご紹介

それではAさんとBさん、2人を例に考えてみます。

Aさんの場合

毎日育児に追われているAさん。初めての子育てで、なかなかイメージしていた通りの完璧な母親像通りになれずにもどかしい思いをしているとします。何かちょっとした失敗が重なるたびに自分をどんどん攻め始めて、余裕がなくなっているという状態。
 
こんなAさんには、<ズヴァディヤーヤ>という哲学が理解しやすいかもしれません。これは、「自分で自分をジャッジせずに、ただ見守る練習をしましょう」という言葉です。できてもできなくても自分は自分。必ず変わらない部分があるということを次第に感じやすくなります。
※<スヴァディヤーヤ>についての詳しい内容はまた別のブログでご紹介しますね!

Bさんの場合

社会人になってずっと真面目に働き続けてきたBさん。今の仕事が嫌いではないけど少し行き詰まり気味。同期たちは次々に転職したり、結婚をしたりして、これまでとは違う人生を進んでいる年齢です。けれど、自分には今の生き方以外考えられないし、他のことをしている自分がイメージできなくて、感情の板挟みになっている、というケース。
 
Bさんには、<アヴィディヤ>という言葉に納得しやすいのではないでしょうか。価値観や社会的な役割などのフィルターを通して自分を見て、その姿が自分の全てだと考えがちですが、「自分が何者かを決めつけない」練習ができます。やはり、自分の中にはどんな役割を持ってどんな人生を歩んでいても変わらない自分がいるということを感じられる助けとなります・
※<アヴィディヤ>についての詳しい内容も、また別のブログでご紹介します!

その時々の自分に合ったヨガ哲学を覚えてみる

AさんとBさん、どちらもバランスを崩しています。そして最終的には「どんな状況でも変わらない本来の自分」を感じたいという目的も同じです。でも、そのアプローツは少しずつ違いました。Aさんに<アヴィディヤ>を説明するよりは<スヴァディヤーヤ>の方が納得しやすいでしょうし、Bさんもおそらく<アヴィディヤ>の方が共感しやすいでしょう。

全てを一度に完全に理解しようとする必要はないです。まずは今のご自分が「本来の自分」を感じるために、より共感できる言葉を知ること。そしてその言葉を大切に感じながらヨガや瞑想をして、静かな自分を体験してみることです。

そうすると、少しずつ過去の出来事や日頃感じた様々な場面の中で、ヨガの哲学を感じやすくなっていきます。

1番大切なのは日々ヨガを感じながら生きること

久美子さんがよくおっしゃいます。

「頭でばかり考えるのではなくて、五感を使ってしっかりとヨガを感じてみてください」

ヨガ哲学はただの知識ではなく、より心地よく生きるためのヒントです。日々の生活の中で感覚を広げて感じていくと、様々な場面でヨガの考え方が役に立っていきます。

英単語の丸暗記をするように覚えるのではなく、ぜひ1つ1つが同じ目的に向かっているこの先人の知恵を、丁寧に感じてみてください。