アーユルヴェーダ|アラン・フィンガー(4/7)

講演者: ニューヨーク・イシュタヨガ、Yogiraj Alan Finger氏
主催: アメリカ国立衛生研究所 (NIH)
撮影: iHanuman
翻訳:全米ヨガアライアンス ERYT-500 田中三智子、薬学博士 林 良樹

アメリカ国立衛生研究所 (NIH) はアメリカ合衆国保健福祉省に属しており、医学研究の推進と支援に関する主要な連邦政府機関です。NIHは2008年5月、初めて「ヨガウィーク」を開催し、ヨガの実演、教室、講演などを連日に渡って行いました。このイベントの参加は無料で、一般にも公開されました。

2008年NIHヨガウィークで、オープニングの講演を行ったのは Yogiraj Alan Finger 氏でした。7編のビデオで構成されるこのシリーズで同氏は、彼が開発したイシュタヨガ (ISHTA YOGA) と呼ばれるヨガシステムを説明しています。ISHTAは「 Integrated Sciences of Hatha, Tantra, and Ayurveda (ハタヨガ、タントラ、アーユルベーダを統合した科学)」の頭文字から作られた言葉です。彼の講演から既に5年の年月が流れていますが、このビデオシリーズは高い人気を保ち続けており、時が経っても色褪せない内容を誇っています。そこで私たちは、読者の皆様とこのビデオを共有させて頂こうと思い立ちました。

前のセッションではヨガ科学のアーユルベーダについてふれました。アーユルベーダは数千年にわたり用いられてきた治療技術です。アーユルベーダとは、生命の科学または生命力の科学と言う意味です。

今日、我々の社会において、実は科学的にも“life force生命の力”とは何かとは明らかにされていません。このことは言うまでもないですね。

生命の力を理解しようとした時に、亡くなったばかりの人の肉体をイメージすると理解し易いです。ちょっと気持ち悪いですが、気味悪くないように説明してみましょう。肉体が死んだ時、何が起こりますか?なぜ、肉体が死んだと解りますか?息をしないから?動かないから?心拍がないから?感じられないから?だから死んでいると思う。

それで?次は何が起こる?死体を眺めてみましょう。磁気が、体温が、電気力が、色が失われ灰色になり、触れてみて電気力が失われて感じられます。これらが2番目に起こることですね。

では3番目に起こることはなんでしょう?細胞をつなぎ合わせている力、水と大地を結びつけている力、私たちを(ブラマンの海から“しずく”として形を保っている)バッグの中に保つ力、その力が失われていきます。そして身体の材料、エレメントは、もとの有るべきところへ帰って行きます。材料は地球の物ですね、あなた達はそれを借りているだけです。カルマを行使するために借りているのです。

さて死体で説明してきたこれら3つの力、動き、呼吸の動きの力でヴァータと、熱と磁気力、消化する力そして考える力をピッタと、物質をつなぎ止めておく力をカファと呼びます。

私たちは、皆生まれたときに、両親によって決まる、ドーシャと言われるものを皆もって生まれます。ドーシャとは生物学的な生命の力と言われています。我々は全て個々のこれらドーシャの“スタンプ”を持っています。このスタンプをプラクリティといいます。

私たちが生きていく上の問題をブリクリティといいます。どう生きるか、どのような条件で生きるかが、我々の根本的な性質と一致していないことで起こるのです。ブリクリティとはプラクリティと一致していないことを意味します。これが起こると根源からはなれていき、病気になり、私たちの存在の調和とバランスを崩します。私たちのゴールは、ホメオスタシス(恒常性)の再確立、生命の力の再構築であるのでとてもとても大事なのです。

どうやってドーシャを知りますか?たくさんの観察する方法はありますね、例えば、脈拍からはたくさんのことが解ります。脈を診ると直接的にドーシャが解ります。牛ガエルのうなりのような脈が感じられたら、それはピッタに支配されています。蛇のような脈、スッシスッシスッシ。。と速いとヴェータ支配です。白鳥のようだと、カファ支配ということです。

脈動でこのようにたくさんのことをみることができます。プラクリティ、ブリクリティ、全ての内臓の機能、“こころ”など、でもこれ、心と身体の研究は、また別のNIHの役目ですね。

わたしがここで言いたいのは、ヨガの科学はとても奥深いということなのです。入り口は身体からですが、その奥には信じられないほどの“存在の科学”に支えられています。

どのように存在するか、我々の存在の一部を見いだすための“存在の科学”。カルマだけではなく、個々の根源、すなわちアートマンを見いだそうとしてきました。我々の一部は不死の部分をもっています。あなたの肉体的側面、精神的側面は死にます。あなたの意識は解放されます。これはただ一つの説明方法で、科学的には説明出来ないことです。一つの説明として憶えておいてください。

時間を拡張するために、座り、何もしないことを学ぶことが必要だと。あなたが心地よく座り、そして、Do Nothing, “なにもしないこと”ができたとしたら、それが本当のヨガの目的地なのです。

さて、今日見てきたようなショーが終わり、心地よく静かに座った時、存在の全てのストレス、不均衡がなくなり、本当のあなたは誰なのか知ることが出来るでしょう。すべての属性を離れ、すべての“こころ”から離れた存在を。

あなたの“こころ”が変わる度に、あなたの存在、起こる全てに常に影響を与え続けますが、“なにもしない”とそれがあなたの“sprits 精”です。

わたしは今日、わたしの人生の目的である、“なにもしない”ことを分かち合うためにここに居ます。これがわたしの最も重要なメッセージです。座り、“なにもしない”ことはサマディという、あなた方が入って行ける最もすばらしい意識状態です。この次元を超越する宇宙があることが感じられます。

  • Alan Finger氏とイシュタヨガに関する詳しい情報は、 www.ishtayoga.com をご覧下さい。
  • ヨガ教師の世界的なコミュニティは、 www.ihanuman.com でご覧頂けます。